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近くを冒険するハンドブックシリーズ
neoコーキョー2 アプリの地理学
辻本 達也(編)
ISBN 978-4-910446-02-8 C0436 A5判 96頁
価格 1,540円+税
発行 松谷書房
書店発売日 2024年10月11日
身の周りをフィールドワークするハンドブックシリーズ第2巻。
あなたはホーム画面にどんなふうにアプリを配置していますか?
アプリの配置のしかたについて10人に訊いた対話の記録。
親しいひとがスマホを使っているところを目にすることはよくある。
でもホーム画面を見たことはない。
こんなに近くにあるものなのに見たことがなかったことにハッとして、作った本です。
“今回、最初に話をしたのはSさんだったのですが、そのホーム画面に出会った途端、ガツンと殴られたような衝撃がありました。その後もつぎつぎぼくは『自分の考え方は唯一のものではない』と感じさせられることになります”――(本文より)
・アプリを「物欲」「食欲」「雑多」のフォルダで分けるようになった理由は?
・ガラケーを使っていたころの意識でスマホのホーム画面を見ている?
・間違って押すのがいやだから市松模様にアプリを配置している?
・目的のアプリがすぐに見つからないように色で分けている?
・え、アプリを整理するってなに?整理するもんなの?
Spot.1にひきつづき、多彩な連載陣による占い・漫画・絵巻物あり!
もっとも身近な場所からダイバーシティを見出せるようになる本
【目次】
はじめに:ミクロな差異をひろう
アプリの地理学 Noontide
#1 ポケモンを乱獲するWEBディレクター
#2 哲学からBTSまで語れる噺家占星術師
#3 建築科出身照明デザイナー
#4 もうすぐ子供が生まれる製薬会社社員
#5 ラップするイラストレーター
マンガ
鮎川奈央子「ここ草っぱらキック」 第2話 僕はこう
占い&コラム
SUGAR「失われた世間を求めて」 第2回 騒動師
世間をひろげる十二星座ラッキーモチーフ――騒動準備する日雇労働者編
絵巻物
林丈二「ボクは林丈二の思考です」 第2回 映画『シェーン』の悪役ジャック・パランスからひきだされた思考
アプリの地理学 Sunset
#6 朝から晩まで下町の定食屋で働く実直店長
#7 気分転換に鉄道時刻表を読むテレビマン
#8 クリエイターのハブとなる美容院
#9 組織の境界をまたぐデザイナー
#10 暗渠のヘドロに飛び込んだ美術家
Booklink
目次
はじめに:ミクロな差異をひろう
アプリの地理学 Noontide
#1 ポケモンを乱獲するWEBディレクター
#2 哲学からBTSまで語れる噺家占星術師
#3 建築科出身照明デザイナー
#4 もうすぐ子供が生まれる製薬会社社員
#5 ラップするイラストレーター
マンガ
鮎川奈央子「ここ草っぱらキック」 第2話 僕はこう
占い&コラム
SUGAR「失われた世間を求めて」 第2回 騒動師
世間をひろげる十二星座ラッキーモチーフ――騒動準備する日雇労働者編
絵巻物
林丈二「ボクは林丈二の思考です」 第2回 映画『シェーン』の悪役ジャック・パランスからひきだされた思考
アプリの地理学 Sunset
#6 朝から晩まで下町の定食屋で働く実直店長
#7 気分転換に鉄道時刻表を読むテレビマン
#8 クリエイターのハブとなる美容院
#9 組織の境界をまたぐデザイナー
#10 暗渠のヘドロに飛び込んだ美術家
Booklink
前書きなど
ミクロな差異をひろう
「あなたはホーム画面にどんなふうにアプリを配置していますか?」
本書には、そう問いかけるところからはじまる対話が十本収録されています。スマホのホーム画面を見せてもらって、アプリの置きかたの話をきく。アプリの話をきいていたはずが、思わぬ方へと話はひろがって、それぞれの人がもつ固有のトーンや細やかなこだわりが見える本になったと感じています。どうしてこんな対話をやろうとぼくは思ったのでしょう。自分でも明確ではありません。でもちょっと書いてみようと思います。
アプリの“地理学”というタイトルですが、これはぼくが身の回りの多くのことを地理ととらえていることに由来しています。川があって水が飲めるから人はその周囲に集まる。たいらな土地があればそこに屋根を建て、果実や獣が獲れる場所があればそこに出向いて帰ってくる。そのようにして、人はレイアウトに動かされてきました。
家のなかでも同じです。どこにトイレがあるか、どこに食卓があるか、どこに薬箱があるか、どこにおたまがありフライパンがあるか、どこに仕事道具があり余暇の道具があるのか。それらへのアクセスのしやすさ/しにくさが、ときには意思以上に、人の行動を決めてしまうところがある。じゃあ手のひらのなかのアプリだとどうなんだろう? そう思って今回の企画をはじめました。
しかしこれは良い意味で裏切られることになります。今回最初に対話をしたのは#3のSさんだったのですが、そのホーム画面に出会った途端、ガツンと殴られたような衝撃がありました。その後もつぎつぎぼくは「自分の考え方は全然唯一のものではない」と感じさせられることになります。それが具体的にどういうことだったかは読んでいただくこととして。とにかく言えることは、対話を経て、当初アプリの地理学というタイトルで思い描いていたものよりずっとひろい誌面になったということです。
昨今、「ダイバーシティ」ということばがいろんな場所で叫ばれています。しかしそれはどこか紋切り型のことばに聞こえてなりません。それはいつからか守るべき規範となり、大きなカテゴリ分けで違いを把握しているだけで、ひとりずつの細かな「ちがう」「おなじ」を見ようとすることなしに理解だけが先行しているからではないか。そう思うことがあります。
本企画は、ぼく自身からそのミクロな差異にとびこもうとし始めた一歩目でもあります。LINEでやりとりしている友人やスーパーで一緒になった人、電車で横に座った人、隣に住んでいる人、地球の裏側にいる人、ウクライナに住んでいる人、ロシアに住んでいる人。それらの人びとも、今日たぶんスマホを使っていて、そのひとりひとりのホーム画面はどんなだろう? 自分とけっこう似ているかもしれないし、違っているかもしれない。些細なことではありますが、あらためてそうやってイメージしてみることで、やっとぼくは個人を想像しはじめることができます。
と、いつのまにか大きな話になってしまいましたが、これは本書の一面でしかありません。はじまりは、もっと子どものように「みんなのホーム画面が見てみたい!」「どんなホーム画面があるんだろう?」という素朴な興味でした。なのでぜひ気楽に、なんのきなしの会話を読んでみてください。どなたにもその人なりのアプリとの関係があり、そこから垣間見える時間がありました。
版元から一言
「考えたことなかった!」がここにある
『近くを冒険するハンドブックシリーズ』 neoコーキョー第2号です!
著者プロフィール
辻本 達也 (ツジモト タツヤ) (編)
鼻先のフィールドワーカー、松谷書房代表。1989年大阪生まれ、埼玉県さいたま市出身。慶應大学経済学部卒。2012年、スマートフォン向けゲーム開発会社に入社。2013年、Twitterで「ワークショップ」と検索し出てきたものに片っ端から参加する。2015年、介助の仕事を始める。2016年より、演劇団体「マームとジプシー」の演劇に継続的に出演。2020年、出版社「松谷書房」を立ち上げる。
レビュー
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